日本人が歯を失う原因第一位は歯周病です。虫歯よりも上位であることに驚かれた方もいらっしゃることでしょう。歯周病は、自覚症状に乏しく、発見が遅れることで重症化しやすいため、気になる症状が認められたらすぐに歯科を受診すること大切です。歯茎の腫れや出血などでお悩みの方は、当院までご相談ください。
☑歯茎が赤く腫れている
☑歯磨きの時に出血する
☑最近、口臭が強くなったように感じる
☑硬い食べ物が噛みにくい
☑歯が伸びたように見える
☑歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなった
☑歯茎が痛い
☑歯がグラグラする
この中で1つでも当てはまる症状がある場合は、歯周病の疑いがあります。複数の症状が当てはまる場合は、進行した歯周病を患っているかもしれません。
歯周病とは、歯の周りの組織である歯茎・歯根膜・歯槽骨に炎症反応が起こる病気です。細菌感染症の一種で、唾液を介して人から人へとうつります。ほとんどの人の口腔内には、もうすでに歯周病菌が常在しているのですが、口腔衛生状態が不良となることで繁殖しやすい環境が整い、歯周組織に悪さを始めます。つまり、口腔ケアが不十分で歯垢・歯石がたまっている人ほど、歯周病リスクは高まります。
歯周病は、日本人の国民病と呼ばれるほど罹患率が高くなっています。厚生労働省が行った歯科疾患実態調査(平成28年)によると、歯肉炎による歯茎からの出血は、15〜19歳で30.6%、20〜24歳で42.9%出現し、顎の骨まで炎症反応が広がった歯周炎は35〜39歳で39.5%、45〜49歳で44.6%もの人が罹患しています。歯周病は、高齢者がかかる病気というイメージが強いですが、10~40代でもたくさんの人が発症しているという現実があります。もちろんこれは歯科医院を受診した人の中での数値なので、潜在的にはより多くの人が歯周病に罹患しているといえるでしょう。
歯周病は、歯を失う主な原因となっているだけでなく、全身の病気のリスク因子ともなりえます。
心臓疾患・脳血管疾患 | 歯周病菌が血管に侵入すると、動脈硬化を誘発する物質の産生を促すと同時に、プラーク(脂肪性沈着物)を形成します。その結果、血管が硬く、狭くなり、血栓が詰まりやすくなることで、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞の発症リスクが高まります。 |
認知症 | アミロイドβという異常タンパク質が脳組織に蓄積することで発症するアルツハイマー型認知症は、歯周病によって誘発されることがあります。血流に乗った歯周病菌が脳へと到達すると、この異常タンパク質の蓄積量が顕著に増加することがわかっています。 |
誤嚥性肺炎 (ごえんせいはいえん) | 近年、高齢の方が肺炎で亡くなるケースが増えています。とりわけ口内細菌が付着した唾液や食物を誤って気道へと飲み込んでしまう誤嚥性肺炎を患う方が目立っており、口腔ケアの重要性が改めて強く認知されつつあります。誤嚥性肺炎の患者様の痰からは、歯周病菌が高頻度で検出されます。 |
歯周ポケットの深さを測定、歯茎からの出血の有無、歯の動揺度などを調べる歯周組織検査やレントゲン撮影などを行い、診断を下します。
検査・診断の結果を踏まえて、病状をご説明します。治療方針や治療法について疑問や不安がある場合は、遠慮なくお尋ねください。
歯周病の原因となっている歯垢・歯石を除去するスケーリング、咬み合わせの調整、患者様に正しい歯磨きを行っていただくためのブラッシング指導などを行います。
初期治療を数週間、ケースによっては数ヵ月継続し、歯周病の状態を再評価します。歯茎の腫れや出血、歯周ポケットの深さなどに改善が見られた場合は、3~4ヵ月に1回のメインテナンスへと移行します。歯周病の症状が残っている場合は、再度、基本治療を行い、それでも改善が見られない場合は、歯周外科治療を検討することになります。
重症化した歯周病に適応される治療です。歯茎をメスで切開した上で、歯根面の汚れを取り除くフラップ手術、歯周病で破壊された歯槽骨や歯茎を再生させる歯周組織再生療法などが代表的な歯周外科治療です。
歯茎や歯槽骨の病態が安定したら、メインテナンスへと移行します。歯周病は再発しやすい病気なので、メインテナンスは継続的に受ける必要があります。